溶性ビタミンAと水溶性ベータカロチンの抗酸化作用。ストレス、肩こり、腰痛、セルライトにも重要

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ビタミンAとベータカロチン

 ビタミンAは、油に溶ける脂溶性です。ビタミンAの量を量る単位には、USP単位(アメリカ合衆国薬局方)、IU(国際単位)、RE(レチノール等量)の3種類があります。一般にはIUがよく使われています。
 脂溶性のビタミンは体内に貯蔵されるため、摂りすぎると弊害が起こることがあります。もっと安全なのは、水溶性でビタミンAの前駆体のベータカロチンの形で摂ることです。ベータカロチンは人参やカボチャの色のもとになっている物質で、カロチノイドの一種。体内で必要に応じてビタミンAに変わるので、プロビタミンAとも呼ばれています。

〔1日の所要量(RDA)〕
 成人は、5000I.U.。妊婦や授乳期の女性は8000I.U.といわれます。

〔作用〕
 昔は「ビタミンAが不足すると鳥目になる」とよく言われました。「鳥目」とは、夜盲症の俗称。鳥の目のように、夜になると見えにくくなる状態で、昨今はあまり耳にすることがなくなってきました。しかしビタミンAには、もっと大きな重要な働きが秘められています。それは抗酸化作用です。
 私たちの体内では絶えず活性酸素という毒性のある物質が生まれています。活性酸素は脂質(コレステロールや中性脂肪)を酸化して、過酸化脂質に変えます。この過酸化脂質が血管壁にへばりついて、動脈硬化などの原因になるのです。動脈硬化は高血圧、狭心症や心筋梗塞のような虚血性心疾患、脳梗塞のような脳の重大な病気を引き起こします。
 そればかりではありません。活性酸素は細胞のDNAを傷つけて、ガン細胞を発生させます。免疫機能を担当する細胞が攻撃されると、免疫力が低下して風邪などの感染症にかかりやすくなります。細胞のDNAが傷つくと老化が早まるので、体のあちこちが実際の年齢より早く老けるというような事態も起こってきます。
 ストレス、喫煙、アルコール、スポーツ、紫外線などは活性酸素を大量に発生させます。現代人の体は絶えず活性酸素の攻撃にさらされているのです。そこで、活性酸素を消し去る抗酸化物質の役割が、以前にも増して重要になってきました。ビタミンの中ではビタミンAベータカロチンビタミンCビタミンE葉酸が強力な抗酸化物質です。ベータカロチンはビタミンA以上に強い抗酸化作用をもっています。野菜をたくさん食べる人にガンや心臓病の患者が少ないのもうなずけます。
 ビタミンAは消化器、肺、膀胱、前立腺のガンを予防してくれます。皮膚、粘膜、目の働きを快調に整えてくれるので、ニキビ、口内炎、湿疹、痔、魚の目を防ぎ、胃腸の弱い人、目が疲れやすい人にも最適です。
 不足すると、先に挙げた夜盲症のほかに、色覚異常、味覚・嗅覚の減退、皮膚のトラブルを起こし、感染症や、さらにはさまざまな生活習慣病にかかりやすくなります。

〔危険性〕
 体内に貯蔵されるため、1日に5000IU以上を長期間(1カ月以上)摂り続けたり、短期間に大量に摂取したりすると、頭痛やめまい、吐き気、嘔吐、脱毛、肝臓や脾臓の腫れ、かすみ目が起きることがあります。
 妊娠の前期にビタミンAを摂りすぎると先天異常を起こす可能性があるといわれています。しかしこれは、10000IU以上も、大量に摂った場合の話なので、8000IU以下なら、心配はないと考えられますが、妊娠中の女性は必ず医師の指示に従うことをお勧めします。
 また大量にお酒を飲む習慣のある人は、ビタミンAベータカロチンのどちらも注意が必要です。このような人の場合、肝障害を引き起こすことがあるからです。

〔豊富に含む食品〕
 緑黄色野菜、さつまいも、卵、レバー、魚の肝油、マグロ。 

〔ポイント〕
 ビタミンAサプリメントには、脂溶性で、前駆体のベータカロチンは水溶性です。油の吸収が悪い人やダイエットなどで脂肪の摂取を控えている人には、水溶性のサプリメントがおすすめです。
 ビタミンAは、ビタミンB、ビタミンD、ビタミンE、カルシウム、リン、亜鉛と一緒のときに一番よく働きます。これらのサプリメントと同時に摂るのが、効率のよい摂り方だといえます。
 ベータカロチンビタミンAに変わるには、ビタミンB群や必須アミノ酸のメチオニンが必要です。ビタミンBコンプレックス(B群の総合サプリメント)やタンパク質食品と一緒に摂ると、ベータカロチンがより有効に吸収されます。

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